幻の本土決戦

 昭和18年9月大本営では絶対国防圏を定め陸海軍共にマリアナ諸島を死守せんとしたが、海軍の「あ号作戦」は失敗しサイパン守備隊玉砕、サイパンは陥落した。
 そしてフィリピンの戦いも苦境になってくると陸軍部内では本土決戦論が台頭した。沖縄本島の守備隊僅か3個師団半。おまけにその内に1個師団を台湾防衛に割き、補充兵力を送らなかったのも既に本土決戦を考えていた証拠である。
 海軍では沖縄を決戦場とし、大和以下残存艦艇のほぼ全てを投入し壊滅した。
 本土爆撃も激化し、国民の目にも敗戦は必至とわかっていただろう。しかし陸軍はまだ多数の兵力を本土に有しておりコレをもってすれば連合軍の上陸部隊に痛撃を与え、ソ連を仲介として有利な講和条約を結ぼうとしていたのである。
 その作戦を簡単に紹介する。


決号作戦
 

兵力編成


地上兵力 五三個師団、二二個混成旅団、三個警備旅団、二個戦車師団
航空兵力 一万機
海上特攻兵力 三三〇〇隻
その他の海上兵力 駆逐艦一九隻、潜水艦三八隻

人員は陸軍二二五万、海軍一三〇万、他に特設警備隊二五万、国民義勇戦闘隊二八〇〇万

 

作戦計画



 ・沖600マイルに飛行機、200〜300マイルに潜水艦の哨戒網を張り、泊地を目指して駆逐艦、潜水艦、特攻艇が突撃する。
 ・航空部隊は海軍特攻機三三〇機が敵機動部隊、夜間攻撃隊が戦艦群、他は輸送船団の攻撃に専念する。
 ・外洋の船団には海軍機八二五機、泊地の船団には陸軍機二五〇〇機、海軍練習機二九〇〇機が全軍特攻を敢行する。泊地付近の制空には陸海軍二〇〇〇機を予定す。
 ・敵上陸部隊には水際撃滅を期す。

ランスが考える・・・

 いやまったく壮大な計画である。作戦発令時にその予定兵力が温存されていれば確かに連合軍に打撃を与えることが可能であろう。
 しかしたとえ全てそろっていても痛撃には至らないだろう。
 陸軍では必勝を期していたようだが実際には空襲や艦砲射撃でその兵力の10分の1も残っていればたいしたもんだろう。
 飛行場は穴だらけになるし、特攻機の格納庫も大多数が破壊されるだろう。たとえ飛び上がっても敵機動部隊の直掩戦闘機の前にバタバタと落とされるであろう。
 陸戦でも敵は航空機や艦砲の援護が得られる連合軍が絶対優勢だ。
 またソ連を当てにしている大本営だがこれは明らかに世界情勢に無知であるかを物語っている。既に日ソ中立条約の更新を断ってきており、極東ソ連軍の兵力はどんどん増強されているのを知らなかったハズがない。明らかに進攻準備を進めているのは明白である。
(とはいえ、期限前に一方的に破棄してくるほど、恥を知らない国とはおそれいったものだ。)
 下手をすれば北海道がソ連に占領され、新国家が建てられ、共産主義政府が樹立されるかもしれないのだ。
 最悪の状態である。ドイツや朝鮮半島のように同じ民族が分割されてしまうのである。最悪だ。
 こーならなかっただけでもよかったのかも知れない。

★おまけ★
 現代の本土防衛作戦

 ついでに現代の本土防衛作戦というものを簡単に紹介しておこう。詳しくは防衛庁のHPに掲載されている。コレを見た後に足を運んでみてはいかがだろうか。
 
 現代の国土防衛は自衛隊および日米安全保障条約にて規約されたアメリカ軍との共同作戦となっている。
 作戦は50年前と同じく水際撃滅となっている。まったく太平洋戦争の経験を生かしていない・・・と思われる人もいるだろう。かく言う俺自身そう思っている。しかしだ、当初は、ここ10年くらい前までは当時の経験から水際撃滅は不可能と結論が出て、内陸持久型をとっていたのだ。しかしこの作戦では住民を直接戦火に巻き込むものだと、どっかのバカ(卑怯で臆病でそのくせ屁理屈コネるのに長けている愚かな平和主義者・・・もしくは反戦運動家)がクレームをつけた。次第に声が高くなってきて無視できなくなり仕方なく水際撃滅となったのだ。
 まったくバカだ、手に負えない、処置なしだ。こいつらには本当の愛国心たるものが欠けている。
 
 確かに住民を危険にさらすことになるがこれは戦争なのである。非常事態なのだ。安全などドコにもないのだ。自衛隊が早々と壊滅してしまえば、アメリカが援護にくるころには日本は無くなっているだろう。というかアメリカ助けてくれんのかね・・・・?
 ただでさえ自衛隊の戦力は乏しい。あんだけ金使ってれば大丈夫だろ・・・と考える輩もいるだろうが甘い、甘すぎるわ。
 日本周辺の軍事情勢を表にしてみた。ご覧いただきたい。

日本周辺の兵力配備状況(96年度末の実勢力)

国名(勢力名) 航空機 艦艇 陸上兵力
極東ロシア(ヨーロッパ方面を除く) 930機 650隻(150万トン) 15個師団(19万人)
ベトナム・カムラン湾(ロシア軍) - 補助艦艇(巡洋艦、駆逐艦など)駐留 -
中華人民共和国 5750機 970隻(114万トン) 96個師団(220万人)
台湾 430機 380隻(22万トン) 12個師団(24万人)、海兵隊3万人
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮) 610機 740隻(10.6万トン) 26個師団(100万人)
大韓民国(韓国軍のみ) 490機 200隻(14.7万トン) 22個師団(55万人)
在韓米軍 90機 - 1個師団(2.8万人)
日本(自衛隊のみ) 510機 160隻(34.9万トン) 13個師団(15.2万人)
在日米軍 140機 - 1個師団(2.8万人)
米第7艦隊(太平洋艦隊所属) 130機(艦載機) 60隻(66万トン) -

どうだろうか。仮想敵国が公表されていないので比較しての論証はできないが、日本は結構ヤバいとは思わないか。

 現実は日本は物価が高くて満足に武器はおろか弾薬さえ揃わない状態なのだ。 どう受け止めるかは個人の勝手であるから俺は言わない。あえて言うならこの程度の兵力で水際撃滅なんて聞いて呆れるということだ。敵上陸軍を海に蹴落とすなんて夢の話だと思う。
 またアメリカ抜きではハナシにならないとも言えるだろう。(・・というより自衛隊そのものがアメリカの軍隊の一部に過ぎないしなぁ)
 また公共核シェルターが存在しないのは一体全体どーいうことだ。理解できん。日本は非核三原則を守り、核兵器に反対してるから大丈夫だ...とでも考えているのだろうか。だとしたらなんと平和な連中であろうか。
 自分が核持ってないから相手も撃たないという理屈は通用しないのだ。だいたい各国は日本はアメリカの核の傘の下に守られてると認識している。ある意味日本も立派な核保有国なのだ。原発のプルトニウムは核弾頭に使えるし、宇宙ロケットの基地はミサイル基地に成り変わることも不可能ではない。隣の国で核戦争が起きた場合日本にも死の灰が降りかかるのは目に見えていることなのに。
 ま、話がそれたが核反対運動と核シェルターの建造は矛盾することではないと俺は思う。シェルターなら大規模災害、例えば兵庫県南部地震のよーな天災でも利用できるハズである。
 これは政府の怠慢だ。抗議したい。はよシェルター作れ。先進国でシェルターないのは日本ぐらいのもんだ。


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